スズメのチュンは、ヒナのとき、死にそうな状態でひろわれて、獣医の竹田津先生のところへ持ちこまれました。すっかり元気に成長して、家族の一員となったチュンは、どうやら、自分を人間だと思っているようです。
、、、野生動物は、「無主物」(誰のものでもないということ)といって、どんな人であろうとも、この日本では、飼ってはいけません。獣医師であっても、治療のための入院も、違法であるという役人もいるそうです。そのうえ、誰も、診療費、入院費を支払ってくれません。そこで、つれられてくる野生動物の患者さんは、困った存在であるのです。
こまったもの、といいながらも、野生動物を治療し、自然の中へ退院させるまで、こまごまと奮闘する、そして、動物の気持ちになって、考えている、竹田津先生に、頭が下がります。
スズメが家族の一員となるということは、法律違反なことであるので、先生は、なんとかチュンを自然を返そうとするのですが、チュンは、外に出ていこうとしません。チュンは、外が、こわいのだ、と、先生はチュンの気持ちを思いやります。
かくして、元気いっぱいの、猛鳥となったチュン。人を襲ったり、先生の奥さんに、求愛行動をとったりと、個性いっぱいのふるまいをします。
手のなかに丸まって、入りたがったり、ふところのなかに入りたがったり、先生の奥さんの濡れた髪が、大好きだったりと、懐いているのが、かわいいところ。
写真もたくさんあって、かわいいイラストもあり、楽しんで読めます。
、、、図書館で、文庫本が無かったので、単行本を借りてきました。皆さんのレビューを読むと、チュンは自然に戻ったようなのですが、単行本のなかでは、チュンはまだ竹田津先生と一緒に暮しているので、気になります。
……小さな小さな声で、妻と話をしている。いつまでもいつまでも話をしている。、、、テーブルの上のポットの上で、先生の奥さんと話をしているチュンの写真が、とても可愛らしかった。
- 感想投稿日 : 2021年8月8日
- 読了日 : 2021年8月8日
- 本棚登録日 : 2021年8月5日
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