家族になったスズメのチュン (偕成社文庫 2097)

著者 :
  • 偕成社 (2006年8月1日発売)
4.12
  • (16)
  • (15)
  • (9)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 139
感想 : 20
4

スズメのチュンは、ヒナのとき、死にそうな状態でひろわれて、獣医の竹田津先生のところへ持ちこまれました。すっかり元気に成長して、家族の一員となったチュンは、どうやら、自分を人間だと思っているようです。

、、、野生動物は、「無主物」(誰のものでもないということ)といって、どんな人であろうとも、この日本では、飼ってはいけません。獣医師であっても、治療のための入院も、違法であるという役人もいるそうです。そのうえ、誰も、診療費、入院費を支払ってくれません。そこで、つれられてくる野生動物の患者さんは、困った存在であるのです。

こまったもの、といいながらも、野生動物を治療し、自然の中へ退院させるまで、こまごまと奮闘する、そして、動物の気持ちになって、考えている、竹田津先生に、頭が下がります。

スズメが家族の一員となるということは、法律違反なことであるので、先生は、なんとかチュンを自然を返そうとするのですが、チュンは、外に出ていこうとしません。チュンは、外が、こわいのだ、と、先生はチュンの気持ちを思いやります。

かくして、元気いっぱいの、猛鳥となったチュン。人を襲ったり、先生の奥さんに、求愛行動をとったりと、個性いっぱいのふるまいをします。
手のなかに丸まって、入りたがったり、ふところのなかに入りたがったり、先生の奥さんの濡れた髪が、大好きだったりと、懐いているのが、かわいいところ。
写真もたくさんあって、かわいいイラストもあり、楽しんで読めます。

、、、図書館で、文庫本が無かったので、単行本を借りてきました。皆さんのレビューを読むと、チュンは自然に戻ったようなのですが、単行本のなかでは、チュンはまだ竹田津先生と一緒に暮しているので、気になります。

……小さな小さな声で、妻と話をしている。いつまでもいつまでも話をしている。、、、テーブルの上のポットの上で、先生の奥さんと話をしているチュンの写真が、とても可愛らしかった。


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年8月8日
読了日 : 2021年8月8日
本棚登録日 : 2021年8月5日

みんなの感想をみる

コメント 1件

りまのさんのコメント
2021/08/08

湊川晴斗さん

コメントありがとうございます!
このチュンは、ヒナの頃、はじめて見たのが、先生と奥さんだったので、自分を人間だと思っているようで、竹田津家の人たちに、とても懐いています。雄のスズメのようで、奥さんには求愛したり、攻撃しなかったり、ですが、竹田津家の中で、自分の巣を何ヶ所も作り、縄張りに入ろうとすると、攻撃してきます。先生の家の玄関には、「猛鳥注意!!」という張り紙が貼ってあるそうです。

野生動物とのかかわりを、考えさせてくれる、面白く読める本でした。 (*^^*)

ツイートする