歌行燈・高野聖 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1950年8月15日発売)
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本棚登録 : 1274
感想 : 94
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泉鏡花を読んだことがなかったがとても面白い。
聞き手が臆病で甘えたがりで、それでいて気の良い人なのが分かって、もう泉鏡花のことが好きになった。
話としてはそう珍しいものでもないが、もしかしたらこういう怪奇系の話の走りが、「高野聖」だったのかなと思った。
しかし親仁はなぜ無事なのか?あの人の狂言かもしれないけど、それは話としては面白くないので無いだろう。
あの人は、女と世俗との唯一の繋がりなのかな。

「女客」
もう死んでしまおうかと思った男。お民は寝ている、寝ているけれども、お堀に飛び込もうとすれば必ず後ろから引き留めてくれる、と信じていた。相手を神のようにすら思う形の愛情がある。
最後、子供が鼬の夢を見たと言って起きてくるシーンは、子供を邪魔に思った母親の生霊だと思った。それなのに2人とも笑顔で話が終わるのが不気味だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年3月14日
読了日 : 2020年3月31日
本棚登録日 : 2020年3月14日

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