たゆたえども沈まず (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2020年4月8日発売)
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感想 : 872
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すごく読みごたえがあった。ゴッホ兄弟、林忠正、加納重吉4人の織り成す重厚なドラマが心をつかんで離さなかった。明治、日本が近代国家の体をなしていない時期に、渡仏しジャポニズムを広めた林忠正の生き様は端から見ていてカッコいい。武士道をフランスで体現してるかのようで魅力的な人物だ。一方重吉は、渡仏し足が地につかない様子に親近感を覚える。その後の成長にも。美術史は聞きかじりの自分がこんなにはまるとは思わなかった。美術に関して、原田マハさんの造形の深さが魅力を溢れんばかりに伝えてくれる。新しいものが受け入れられるのに時間がかかることを歴史は繰り返し伝えてくれる。あのゴッホですらそうなのだから。アルルの跳ね橋や星月夜など素人の自分でも思わず感動してしまうというのに。美術×歴史のダイナミズムを終始感じることができた。すごく楽しい時間を過ごせた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年2月17日
読了日 : 2022年2月17日
本棚登録日 : 2022年2月12日

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