イニシエーション・ラブ (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2007年4月10日発売)
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乾くるみさんの有名な作品「イニシエーションラブ」
今回読むにあたって男性だと知った、勝手に名前のニュアンスからの先入観で女性が描く恋愛物だと思っていた。作者名からもトリック噛ましているのかな?

作品はサイドAとサイドBの2部構成。
時代背景は1980年代と思われる、「バブル期」の初期だろう。そこもこの作品の重要で物語の主眼点。

皆さん書いていると思うが非常にトリックの多い作品であり、所謂叙述トリック満載の作品。
特に主人公「鈴木」目線でサイドAを読まされるからトリックにはまる。作者の手のひらの上で読まされてしまった。すっかりはめられた。

特に人物像と時系列に最大のトリックを仕掛けられており、これは最後まで読まないと分からない。
帯に「必ず二回読みたくなる」とあったがその通りの結果になった。読後に答えを自分で探すという推理小説。古い作品なのに新しく感じた。

マユ目線で見てみると分かりやすく、関わってくるイベント(デートや電話やプレゼント等)の時系列とをサイドAとサイドBで合わせて考えて見ると解きやすい。
非常に面白い作品。

トリックはめちゃくちゃ素晴らしいのだが、登場人物はというと何か好きになれないタイプの人ばかり。作品背景、重要な要所の80年代の若者のステータスやトレンドも相まって、登場人物の人柄に虫が好かない。物語の内容も薄く感じた。

一度読んでおきたかった本だったので読めてよかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月5日
読了日 : 2024年1月5日
本棚登録日 : 2024年1月4日

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