憲法を変えて戦争へ行こう という世の中にしないための18人の発言 (岩波ブックレット657)

  • 岩波書店 (2005年8月3日発売)
3.49
  • (18)
  • (21)
  • (47)
  • (3)
  • (4)
本棚登録 : 175
感想 : 34
4

憲法9条を改正しようという動きは、いまはあまり耳にしませんが、本書の18人の提言者のひとり、姜尚中さんが個別案件でちょこちょこ法律を作ることも「改正」してるんだと書かれた文に、そうやって”いつの間にか”9条に手が付けられるんじゃないかという怖さを思いました。
よく、日本国憲法はアメリカが作ったもんだから、改正したいということも聞かれましたが、美輪明宏さんは、アメリカ人でも何人でも「人間が作ったものだから」良いものはそれでいいといわれています。国会で圧倒的多数で承認したのは日本人なんですよね。
この9条をはじめ、憲法の前文も含めて「平和憲法」と言われる日本国憲法は、もはや日本だけのものではありません。例えばコスタリカは、日本国憲法を手本に、軍隊を廃止したといいます。井上ひさしさんは憲法は「みんなの励み」だといいます。
平和憲法はいわば”理想”です。その理想をどうやって現実化するのか?その宣言だと思います。”言ったもん勝ち”で言い続けたら現実化するかもしれないし、しなきゃいけない……。そんな単純なものじゃないかもしれないけど、良いものを簡単に変えるとか言っちゃうと、憲法の存在意義が無くなっちゃう気がします。
18人の中の発言じゃないけど、戦争は経験してるかだけじゃなくて、理解できるかが重要だと言っていた人がいて、そのとおりだと思います。
森永卓郎さんの、9条は最も「美しい法律」というのと、ピーコさんの「9条が大好き」という文が心に残りました。人類の最も美しい感覚から作り上げた芸術ともいえるし、理屈じゃなく好きというのが、なにか人間の大事な感覚からの言葉のような気がします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 戦争
感想投稿日 : 2022年6月30日
読了日 : 2022年6月30日
本棚登録日 : 2022年6月23日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする