迷える英語好きたちへ (インターナショナル新書)

  • 集英社インターナショナル (2020年10月7日発売)
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自分のこれまでの英語学習についての考え方をかなり変えさせられた。自分も「日本人が英語が不得意なのは読解と英作文に偏ったこれまでの英語教育のせいだ、と軽々しく発言している経済人や政治家」と同じことを言っていた。小学生のころから簡単な道案内や自己紹介を英語で言えるようにしたとしても、パーティーでネイティブスピーカーと楽しく話し合えるような会話力が身につくわけではない。これまでやってきた中学・高校での英語読解と文法の基礎をしっかりマスターしたうえで、個々人が勉強を継続することしか全く異なる言語である日本語を母語とする我々が上達する道はない、という主張は説得力があった。大学入試に「英語四技能」の導入は不要なばかりか、高校生が読解と文法の勉強にかける時間を減らす点で害悪である。
一昨年引退するまで化学系の研究者だった自分にとって、大学の研究室から企業の研究所時代を通じて英語の文献を読み、英語論文を書く能力が仕事上のパフォーマンスに大きな影響を与えたことは間違いない。一方でオーラルコミュニケーションで十分に仕事ができる研究者は自分も含めてほとんどいなかった。このような国でも科学分野で30人近いノーベル賞受賞者を輩出しているのである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教育
感想投稿日 : 2021年1月1日
読了日 : 2021年1月1日
本棚登録日 : 2020年12月29日

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