料理×ミステリーで人気のある友井羊さん、初読み。
タイトル「100年のレシピ」にあるように、
この1冊で100年を語る、壮大な物語だった。
しかも斬新!
高名な料理研究家 大河弘子さん、満100歳を迎える!
で、翌日この世を去る……(えっ?!)老衰で眠るように逝かれる。
5つの章では年代がどんどん過去にさかのぼっていく。
令和、平成、昭和のバブル期、戦後、そして戦前から終戦。
視点は他者で、ある出来事かおこり、その謎を大河弘子がときあかす。
最終章では大河弘子自身が語ってくれる。
時代設定がちがうから別の話……と思わせておきながら、最初からのながれに沿っていて、あぁ〜ココと繋がった!と腑に落ちたときが心地いい。
料理のシーンではよだれが出そうなほど美味しそう、それでいて書かれているレシピは手がかからずチャレンジできそうで作ってみたくなる!
謎解きはちょっと辻褄合わせがすぎる??とか、そんなうまく繋がる??と思えるところもあるけれど、大河弘子という人の良さ優しさ強さが作品全体を包み込んでいる。
本を開くと、オーブンを開けたような温かさと美味しい香りで満たされる感覚だ。
各時代のなかで、親しまれた食卓やレシピ、料理法も紹介されていて、懐かしさもある。
さらに、食品に関する事件事故などの史実や当時の物価、暮らしぶりも織り交ぜられていて、たんなるお料理小説やミステリーとの格のちがいを感じさせられた。
やっぱり美味しいものは人を幸せにするし、思い出とともに記憶に残るのだなぁ〜。
さて、今日の夕ご飯はなににしようかな?
大好きな栗原はるみさんにするか、土井善晴先生の一汁一菜で済ますか、やっぱり平野レミさんでドーンといくか!?
- 感想投稿日 : 2024年4月11日
- 読了日 : 2024年4月11日
- 本棚登録日 : 2023年11月3日
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