ヨルシカの『451』なる曲から。そういや読んでないなあと思って手に取ったのは、伊藤典夫訳の2014年新訳版。
firemanを「焚書官」じゃなくて「昇火士」と造語した訳者の感性にやられた。しょうか(消火と昇火)の価値が変転した世界の倫理すら表現する名訳!
1952年、(日本じゃ昭和27年!)に書かれたこの小説がポルノチックな男性誌『プレイボーイ』に連載されていたという事実を知り、アメリカの出版文化の豊穣な世界を垣間見た気がした。
ストーリーは、確かにシンプル!
そしてヒロイン・クラリスの消失とか、援助者フェーバーの中途半端感とか、逃走の果ての尻切れトンボ的なラストとか、もちっとなんとかできたんじゃと思ったり思わなかったりしたけれど、名作だった!
この詩的な、哲学的な物語の描いた世界がフィクションであることを願う。
スマホ、生成AI、人が考える力を奪われる世界がすでに進行しているからこそ、私は本を買い、本を読むのだ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年5月28日
- 読了日 : 2023年5月28日
- 本棚登録日 : 2023年5月28日
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