「野ばら」小川未明/作 司修/絵
作品の素晴らしさはここで言うも疎かだが、司修さんの挿画の素晴らしさが際立っている。
対立する二つの国。国境の石碑を守る老人と若者。いつしか理解し合う二人を、国同士の争いが引き裂く。戦場に向かった若者は騎馬の一軍を率いて老人の夢枕に立ち、一礼して野ばらの香りを嗅ぐ。
極彩色とも呼べる色の重なりを黒く塗りこめて、スクラッチの技法で描き出された挿画が、作品世界を鮮やかに浮かび上がらせています。
世界が対立する今こそ、小学6年生に読んでほしかった物語だと、痛切に感じます。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年4月28日
- 読了日 : 2022年4月28日
- 本棚登録日 : 2022年4月28日
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