それをお金で買いますか――市場主義の限界

  • 早川書房 (2012年5月16日発売)
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1.最近になってますますお金の重要性が増してきた現代ですが、豊かな人ほど「お金は必要ない」と言っています。なぜここまで貧富の差が激しくなったのか、なぜお金が人の心を惑わせてしまうのかが気になったからです。

2.市場主義が浸透し、すべてが市場原理に委ねられ始めた昨今ですが、それに伴って大きな問題が2つあります。まず、公平性の問題です。本書では行列に並ばなくてもプレミアムを払うことで先に行けるシステムが導入されています。それによって、金銭に余裕がある人は進んでそれを支払うことで、生活に余裕を持たせていきます。一方、貧しい人は永遠に待つことになります。これにより、本来は業道で会ったシステムが崩れていくことを指摘しています。次に、腐敗の問題です。昔から裏口入学が問いただされていますが、まさに腐敗の証拠と言えます。金さえ払えばどうにでもなるという考えが蔓延し、施行することや競争させることを避けてきてしまったがゆえに、生じる問題があります。
このように、お金が全てになりつつある社会に対して、改めて問いかけるのが本書の役割だと思っています。

3.貧富の差が拡大してきた大きな理由は、中流階級が貧しくなっていくことだと考えました。今まで出費をしなくてもよかった部分に出費せざるを得ない状況になりました。すると、必然的に支出が上がり、貯蓄率は低下してきます。これにより、生活費の負担が上昇し、貧しくなってしまう構図だと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年2月11日
読了日 : 2021年2月11日
本棚登録日 : 2021年2月11日

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