サクラ咲く (光文社文庫 つ 16-1)

著者 :
  • 光文社 (2014年3月12日発売)
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感想 : 457
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桜の季節は既に終わり、街路樹は新緑に彩られ花水木の花も盛りです。学生の皆さんは新しい生活にも慣れたでしょうか。

若美谷中学、高校を舞台にくりひろげられる、三つのストーリー。それぞれ、少しづつ登場人物の関係が絡んでいます。表題作品”サクラ咲く”では、自分を強く主張することのできない塚原マチが、図書館の本にそっとはさまれたメッセージを偶然見つけるところから始まりす。

”サクラチル” マチの読もうとする本に次々と見つかるメッセージを残す人物は誰なのか。なぞを追いかけながら、自分自身を次第に主張していくマチの変化、揺れ動く気持ちが伝わります。エンドは”よろこびの歌”のような・・・

”世界で一番美しい宝石”で描かれた、”図書館の君”立花亜麻里も、映画同好会の武宮一平も、平凡でも非凡でもいい、自分の位置を確かめたい想いが、切なく、静かだが強く表現されています。
「学校は誰のものだ。俺たち皆のものだ」

10代の頃、自分を壊してしまうほどの激しい不安が我々にもありました。内面が剥き出しになり、回りとの関係に大きな痛みもたくさん経験しましたね。
若い、清々しい春風のような小説でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文芸
感想投稿日 : 2014年5月2日
読了日 : 2014年4月10日
本棚登録日 : 2014年5月2日

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