「流域地図」の作り方: 川から地球を考える (ちくまプリマー新書 205)

著者 :
  • 筑摩書房 (2013年11月5日発売)
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感想 : 27
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流域地図の作り方という表題で、どんな内容なのか興味がありました。読み進めるとなるほどと共感する部分が多くあります。最初はフィールドワークの本かと思いましたが、内容は人と自然の係り方、川の水源から下流域全体までひとつの繋がった、流域、水圏としてとらえる視点が大変面白い。

水と人との繋がりは、そもそも生活圏として大変深いかかわりがあり、農業治水、生活の基盤を水に求めてた。現在はその関わり合いが薄れ、中流域で舗装された地上からは水は浸透せずにそのまま川に流入し、時に大きな洪水をもたらしている。

水源付近の森林が荒れ、森林の保水力が落ちれば、上流で降った雨水は川に勢いよく流れ込むことになります。東京都でも水源林である奥多摩の様子を下流の多摩川水系の皆さんに知っておらうというプログラムがあったかと思います。

都会では川を中心とした文化圏という考えは薄く、東京では中心から放射状にのびる私鉄沿線を中心に街づくりが進んできました。川を越え、丘陵を横切り街を作る。川の流域文化とは大きくかけ離れた都市デザインがそこにはある。

多摩川の支流、浅川の日野あたりには、用水路も多く街中を豊かな水が流れます。古多摩川が形成した崖線(はけ)に沿っては、今でも伏流水が湧き、国分寺崖線、野川、豊田のはけにも清水が湧く、豊かな流域が残されています。

サイクリングロードをゆっくりと川に沿って走っていくといろいろな風景に出合います。この川の上流に何があるのだろう、子供の頃の小さな冒険。
そんな気持ちからもう一度流域の文化圏を考え直してみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自然・山
感想投稿日 : 2014年2月9日
読了日 : 2014年2月9日
本棚登録日 : 2014年1月19日

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