東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと (幻冬舎新書 か 16-1)

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  • 幻冬舎 (2012年10月26日発売)
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東日本大震災発生当時、総理大臣だった菅直人さんの著作。民主党政権、取り分け菅さんは大災害の最中に感情的になり現場を混乱させたというようなイメージがあった。映画Fukushima50でも酷い描かれようだったし、菅さん視点で見た震災に興味があり本書を手に取った。

原子力事故が起きることはもともと想定されていない(政府が事故を想定しているという話になれば原発建設に障害となるため)。未曾有の事態を収束するための組織も整備されていない、政府が一民間企業に指示できることも法的に限られている。また現場の状況が目まぐるしく変化するが、その正しい情報がなかなか総理に入ってこないという中で、出来る限りの努力があったという誠実さが伝わった。
東電上層部の説明者が技術的な内容を殆ど理解しておらず苛立ったという記述があるが、それは分かる…と思った。
菅さんは、チェルノブイリ規模の放射能汚染にならずに済んだのは「運」だと振り返る。そうなのかもしれない。

これが別の総理だったら…自民党政権だったら…もっと上手くやれたのか?結果は誰でもさほど変わらないのでは無いかと感じた。

菅さんは震災以降、これまでの考えを改め「脱原発」へと方針変換したそう。事故当時の日本を背負っていた当事者だからこそ出来ることや強い思いがあるのだと思う。菅さんのイメージが少し変わった。

ひとつの物事を色々な視点から捉えることはこれからも続けていきたい、読後改めてそんな風に感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年9月19日
読了日 : 2022年9月19日
本棚登録日 : 2022年9月19日

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