伊吹有喜さん初読み。東京の高校で同級生らからのいじめに遭い学校へ行けなくなってしまった17歳の美緒。疎遠だった父方の祖父のいる岩手県盛岡近郊の滝沢村へ一人で向かう。羊毛を紡いで織り上げてできる布「ホームスパン」を手がける祖父の下、その技術を学ぶだけでなく、家族との関係や自身の人生を見つめ直す物語。厳つい祖父の、孫を思う言動にとても心を打たれた。息が詰まりそうな東京の家以外に、美緒にこのような居場所があって本当に良かった。優しい祖父やホームスパンに携わる人々に触れ、徐々に自分らしさを取り戻す美緒。羊毛だけでなく、岩手の雄大な自然も美緒を癒してくれたのだと思う。何かに行き詰まった時、視野を広く持ち続けることはやはり大事だ。高評価の通り、美しい物語だが、私は読後、なんだか悲しさや淋しさの方が先行してしまった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年10月31日
- 読了日 : 2022年10月31日
- 本棚登録日 : 2022年10月31日
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