アッツ島、サイパン島、硫黄島、ガダルカナル島の玉砕、インパール作戦の悲劇など日本軍の無謀な戦いについて、一応の知識はあったが、正直本書に触れる迄ペリリュー玉砕については、殆ど知識がなかった。
しかも、このペリリュー島の戦闘で、それまで日本軍の定番の戦い方であったバンザイ突撃をやめて塹壕持久戦を採り、その後の硫黄島、沖縄の戦いのモデルになったことに興味をひかれた。
しかも、ペリリュー島守備隊指揮官の中川州男大佐の指揮官としての人物像にも興味があった。どの時代でも、軍隊だけではなく組織のリーダーの人格、生き様は胸を打つものがある。中川大佐(中将)は硫黄島の指揮官、栗林忠道中将につながる人物像を見た思いがする。
私は、今日の保守派や右派の連中が、太平洋戦争の悲劇をどれだけ、その後に生きる我々自身の問題として認識しているのか疑問視せざるを得ない。その意味では、本書は太平洋戦争を美化すること無く、戦争の悲惨な事実を追体験出来る好著と言える。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
戦争文学
- 感想投稿日 : 2023年1月24日
- 読了日 : 2023年1月24日
- 本棚登録日 : 2023年1月24日
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