それまで数学を生業としてきた著者が、コロナ禍で子どもと多くの時間を過ごし、自然に触れることで感じたことを瑞々しい言葉で語っている。現代社会の中では人は「個人」として、独立したものと錯覚しがちだが、見方を変えれば歴史や周囲の自然との関係のなかで作られた依存的存在としての人間の姿が見えてくる。それは決して人の価値を貶めるものではなく、むしろ人間に豊かさをもたらすような気さえする。
以下の一文が特に印象的だったので書き記しておく。
「だが、人間がいることによって、人間がいなければ考えられないような、豊かな生態系を構築できる。人間は環境から奪うだけの存在ではなく、生態系の拡張日貢献する生き物になれる。これを示す実例をいくつも作っていくことができれば、未来の子どもたちも心の底から「わたしは生きていてもいい」と思えるのではないか。」
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- 感想投稿日 : 2022年7月27日
- 読了日 : 2022年7月28日
- 本棚登録日 : 2022年6月7日
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