音楽、映像、トラウマ、決して肉体的ではないサディストやマゾヒストの精神性の巧みな表現や会話。
強さと脆さ、恐らくどの人間にもあるであろう表裏一体の各側面。
それらの全てが無意識的にリンクしていることに気づかない。
そのリンクする瞬間が見えた時、初めて断片的なものが統一化されて音楽が繋がってくように、人はまた一歩生きる道を進んできたようだ。
だから今もなお、音楽が生まれ続けている。
「生きていく希望っていうのは、他の誰かへの働きかけと、その誰かからの反応。他の誰かからの自分への働きかけと、自分の反応じゃ希望にならないから、妄想が起きるわけでしょう?」
「音楽の全ての要素は他の誰かへの働きかけと、その誰かの反応だから。」
凝縮。されていて、久々に残ったセリフだった。
抽象的な映像や音が浮かぶ世界観の中に、やはり村上龍らしい淡々としたブレない流れがあり、面白いでは無く「好き」な作品。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2015年6月23日
- 読了日 : 2015年6月23日
- 本棚登録日 : 2015年6月23日
みんなの感想をみる