北欧という言葉に「雪と氷に閉ざされた大地」というイメージを持つのは KiKi だけかしら?? フィンランドの童話であるにも関わらず、そんな冬には主役を冬眠させちゃう(もっともそこにこそリアリティを感じたりもするけれど)このシリーズ。 そんな中で普通だったら冬眠しているはずの季節に、なぜかパッチリと目を覚ましてしまったムーミンを描いているのがこの巻です。 さすがに北欧の作家さんが描く冬の物語であるだけに、その冬の描写が何と言っても素晴らしい!! 雪の美しさ、厳しさ、静けさが描かれています。 そして春の訪れに伴い氷が割れる音が谷中に響く様なんかは、のめり込むように読んでしまいました。
ムーミン・シリーズにお馴染みのキャラの大半(スナフキン、パパ、スニフ、スノークのおじょうさん等々)はほとんど出てこないから、彼らのファンの人たちにとってはちょっと物足らない物語になってしまうのかもしれないけれど、彼らを全員登場させないことによってムーミンが直面する孤独さとその孤独さを克服していく姿には感銘を覚えます。
自分がよく知ってるつもりだった世界が冬の間にはすっかり様子を変え、馴染みのない多くの生き物がそんな冬のムーミン谷で生きているというお話の中に、今まで全然気に掛けたこともなかった他者の存在を認めるというお話には深いものがあるなぁと感じ入りました。
(全文はブログにて)
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ファンタジー・童話集
- 感想投稿日 : 2011年8月15日
- 読了日 : 2011年8月14日
- 本棚登録日 : 2011年8月15日
みんなの感想をみる