実は KiKi がこの物語全体の中でもっとも好きなのはこの部分かもしれません。 ある意味で主役であるはずのフロドはほとんど出て来ない巻なのですが、その2人に置いてけぼりを食らった格好になってしまった「旅の仲間」それぞれが、それぞれの果たすべき役割をきっちりと果たしていて、それが結局はフロドのために、そして中つ国とそこに住まう「善陣営」に属する全ての種族全体のためになっているというプロットが何とも魅力的だと思うんですよね。
特に KiKi が好きなのは「旅の仲間」の中でどちらかというとお荷物的な存在だったメリ・ピピ・コンビの活躍ぶりです。 彼らを救出するために後を追うアラ・レゴ・ギム・トリオは何と言っても武術の達人達だし、各種族代表という位置づけだし、王様までいるからどんな形であれ、大活躍するのはまあ想定内だと思うんだけど、サム & フロドに取り残されたホビットの2人が敵陣営の捕虜という絶望的な状況でスタートを切りながらも、偶然にも助けられつつエント達と出会い、彼らを動かす原動力になるのがやっぱり小気味よいと思うんですよ。 誰の味方でもないと公言していた「木の髭」に気に入られたというのも彼ら2人がホビットという種族だったからこそだと思うんですよね。
秩序だった暮しと仕事を営み、非好戦的でありながらも芯の強さを持つ種族。 平和と静けさとよく耕された大地を愛する種族。 他の種族に敢えて干渉しようとはしない種族。 そんな種族だからこそ彼らはエントやフォーンと行動を共にすることができたし、又、そうすることで彼ら自身の安全も担保されたんだと思います。
PJの映画ができちゃってからは、本を読むよりはあっちの映画ばかり観ていた KiKi にとって今回の読書で再認識した一番の出来事はあのヘルム峡谷での闘いの相違点でした。 映画では美しいハルディアがエルロンドの命を受けてエルフ軍勢と共に加勢にかけつけそこで絶命しちゃうけれど、原本の方ではエルフはこの闘いに全く関与していないし、ハルディアもここで死んじゃうことはなかったんでしたねぇ・・・・・。 映画の方、あれはあれで感動的なシーンだったけれど、個人的にはこっちの方が趣味かも・・・・・・(笑)
と同時に今回も「指輪物語 フロドの旅 ~ 「旅の仲間」のたどった道」の地図とにらめっこしながらの読書だったんだけど、映画の変なところを発見してしまいました。 シーンとしてはアラ・レゴ・ギム・トリオがメリ・ピピ救出のために追跡行を敢行している真っ最中。 アラゴルンがレゴラスにエルフの目で何が見えるかを問うシーンがありました。 すると千里眼のレゴラスは遠くに目を凝らして叫びます。
"the Urukes turn northeast. They are taking the Hobbits to Isengard!"
これ、直訳すればこんな感じでしょうか?
「ウルク=ハイどもは北東に進路を変えたぞ。 アイゼンガルドにホビットを連れてく気だ!」
ちなみに日本語字幕はただ単に「奴らは方向を変えた。 先はアイゼンガルドだ。」となっていました。 まあ、その訳だったらそんなに問題はないんですけどね(苦笑) でもKiKi は最近ではこの映画は英語のお勉強のため(?)に日本語字幕版ではなく英語字幕版で観ることが多かったのでこの英語に気が付いちゃったんだけど、コレ、地図と見比べると大いに変!なんです。
何故って、旅の仲間たちがフロド・サム・コンビに置いてけぼりをくらったパルス・ガレンからアイゼンガルドに向かう経路はどこをどう頑張っても北西方向にしか向いていなくて北東を向いて進んじゃったら大河アンドゥインを渡らなくちゃいけないうえに、そのずっとずっとず~っと先にあるのはレゴラスの故郷の「闇の森」とかビルボが旅した「はなれ山」になっちゃうんですよね~。
KiKi は原作本があって映画化された物語で原作と大きな違いがあっても基本的にはどちらも「別の作品」と思って楽しむことを基本スタンスとしているのでまあ、どうでもいいって言えばどうでもいいんだけど、やっぱりこの物語の場合は世界観があまりにもしっかりと作られているうえに、今回は地図を参照しながらの読書だったので気になる、気になる・・・・・・ ^^;
ま、それはさておき、何とかヘルム峡谷の闘いに勝利し、サルマンをオルサンクに閉じ込めたところで第3巻は終了です。 (映画のSEEではここでサルマン死亡) お話はメリ・ピピが大活躍している間にフロド・サムが何をしていたか??に移っていきます。 このあたりの同時進行時のそれぞれの行動は映画の描写の方がわかりやすかったかも・・・・・(笑)
- 感想投稿日 : 2012年8月26日
- 読了日 : 2012年8月25日
- 本棚登録日 : 2012年8月26日
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