封印される不平等

著者 :
制作 : 橘木俊詔 
  • 東洋経済新報社 (2004年7月1日発売)
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感想 : 12
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教育社会学者・苅谷剛彦、経済学者・橘木俊詔、社会学者・佐藤俊樹、ジャーナリスト・斎藤貴雄の共著で、本文は橘木俊詔が中心となって書き、四人の討論が間に挟まれている。
 格差は教育と密接に関係があることが、従来はタブーとしてあまり語られないできた。
 ところが現実には高所得世帯の子どもは高学歴になり、低所得世帯の子どもは低い学歴にとどまるケースが多い。また高所得世帯の子どもは難関大学に入り、低所得世帯の子どもはランクの低い大学にしか入れないことが多い。また苅谷剛彦の研究によれば、所得の高低によって子どもの学習意欲にも大きい差が見られるという。
 こういう格差を語ることがタブーとされてきたのは、「努力すれば経済的格差や出自に関わりなく報われるのだ」という考え方が否定されると立身出世主義と抵触するからだろう。高度成長期には、努力すれば報われたが、現在は努力しても必ずしも報われるばかりではないというケースも多い。
この「封印された不平等」にメスを入れた本であり、四人の著者がそれぞれの立場から論じているが、共通するのは将来の見通しが立たない不安を解消し、希望の持てる社会にすべきだということである。

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感想投稿日 : 2007年4月20日
本棚登録日 : 2007年4月20日

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