経済復興: 大震災から立ち上がる

著者 :
  • 筑摩書房 (2011年5月12日発売)
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感想 : 10
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なぜこれが30選なのか…。そこが不明だ…。

日銀のデフレ政策批判が本著の半分は占めると思われるので、
そうしたものにアレルギーがある人は最後まで読めないはずである。

尚、震災直後に円高になったのは、
世界の投資家が日本がデフレだからと考えたのか
どうかというのは信憑性が乏しい。巷で言われる、
短期の円の需要を当て込んでその需要に飛び乗る形で
円高が進行したという話なのではなかろうか。と。

彼は、震災復興に必要なお金についてこう考えている。
復興債は日銀引き受けにするべきだ・・・と。

何故か。

復興債を発行すると、その主体は政府であり、
そのお金を民間から調達することになる。
そしてそのお金を元に復興事業を実施する。

これは表向きにはお金の流れが民間→国→民間となり
お金の総量が変わらない。
これに対して、復興国債を日銀引き受けとすれば、

民間が本来復興国債を買うべきお金はそのままになる。
そして復興事業は日銀引き受けの復興国債で遂行されるので、
お金の総量は増えることになる。

というカラクリである。うまい話なのだがどうなのだろうか。


二重住宅ローン問題についても触れていた。

住宅ローンを持つ被災者を救済できないのは筆者に言わせれば
当然とのことでありここは同意できる。

●住宅自体がある種の個人資産である。
●賃貸を選んだ人に比べ補助を受けるのは公平性から考えどうか
●現在住宅ローンを受けている人は税額控除を受けており、全く控除を受けない賃借人と比べ公平性が損なわれている。

故に二重ローン救済は困難であり、一定所得以下の層に対する
公的扶助による賃貸の住宅補助あるいは、公営住宅への入居推進が妥当な答えではないか、とのことである。

が阪神大震災では土地区画整理事業の実行を条件に
これら被災者の救済に繋がる事業を推進する。という考え方だ。
これは一つの解決策だろうなと思えた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 山形浩生が選ぶ経済書30冊
感想投稿日 : 2012年1月13日
読了日 : 2012年1月13日
本棚登録日 : 2012年1月13日

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