金融の本領

著者 :
  • 中央経済社 (2012年6月27日発売)
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感想 : 13
5

金融に関する名著。
澤上氏の視点からの投資感、金融論が非常におもしろく勉強になる。世界の歴史の話も日本目線ではない枠組みで紹介されていておもしろい。
<メモ>
・アメリカ経済の盛衰。
・景気浮揚策としての過剰流動性と年金マネーによってマネーが巨大化した。この二つでマネーが暴れだす土壌が醸成されていた。
・米系はカネが接点だから金融商品の開発がすごい。一方大陸系は長い付き合いを見据えているから、価値感を共有できないお客は追い出してしまう。とことんお客さんを選ぶ。
・投資会社、昔は節度があり、素晴らしい頭脳集団だった。世の中の行く先を世界レベルで読み込みしながら、「これは面白い」と思ったものに、海のものとも山のものともしれない段階からドーンとお金を放り込む。70年代半ばくらいから年金運用中心に機関化現象が本格化し、眼前の巨額資金をいかに取り込むかのビジネスに変質していった。
・かつては市場マネーの72%が持ち合いなど日本企業村の住人だったから、純投資家は28%のみ。持ち合いをやめ出したため、株は暴落し、バブルが崩壊した。今は持ち合いは8%、残りの92%は純投資家に近いため、構造的な売りは出てこない。
・人生の三位一体「とにかく自分がやりたいことをやる」「それでそこそこ食べていける」「その仕事を通じて世の中にポジティブな影響を与えることができる」
・こんな社会に住みたいな、こんな世の中を残したいと願う将来方向で頑張っている企業を熱く、人間的に応援していこうとする。いつの時代でも将来を築いていくのは事業化の夢と情熱。そうして事業化、企業を応援するのが長期投資。
・本質を見る。サービスやブームはいつまで続くのか。人間の本質にとって大事なものなのか。どういう状況になったら飽きるのか。もっと違うものが出てくるのでは。という視点からものごとを考える。
・生活者基準で考える。車は世界では必須のものである。車通勤、通学ショッピング。買い替えも必ず発生する。
・社長になったつもりで考える。優秀なアナリストは将来のポイント、ネックを考え、予想する。どうなったら好転するのか。あらゆる業種で見通せるようになることが地頭のよさ。様々な情報を発掘し、どんどんわからなくなることが仕事。どんどん上のレベルでわからなくなる。社長になったつもりで仮説をたてる。
・コンサルタントは出現したばかりの経済事象を瞬時に体系化・理論化することが仕事。
・投資とは将来の納得に対して、現在の不納得で行動すること。将来の価値向上を読みこむこと。価値あるものが売られて安くなっているときに買っておいて、みなが買い群がってきたところを売る。すごいと言われたら終わり。馬鹿なことをやっていると思われるくらいがちょうどいい。
・人々が喜ぶことをしたものが力を得る。楽市楽座がまさにそう。
・今人々にかけているものは自信。やればできるという実感。豊かさはあたら得られたものではなく、自分でつかみ取るもの。自信=明るさ。
・融通の時代。コミュニティの中で様々なものを融通することが生まれる方向にいくはず。コミュニケーションが生まれると融通が生まれるはず。
・いなかにいくと価値感がかわる。お金はいらない。コミュニケーションが必要で、様々なバーターからなりたつ。得意なものを融通し合う。新しい生き方が生まれる。
・ヨーロッパのエリート教育。エリートは社会的な使命があるからめちゃくちゃ厳しく育てられる。
・為替はゼロサムだから何かが上がれば何かが下がる。
円高でやるべきこと、円安でやるべきことを見極めておくこと。円の変動に備え、インフレに強い企業の株を買っておくこともできること。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経済・経営関係
感想投稿日 : 2014年5月11日
読了日 : 2014年5月11日
本棚登録日 : 2014年5月11日

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