僕たちはガンダムのジムである

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  • ヴィレッジブックス (2012年9月28日発売)
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## 感想
社会が量産型の人材を生み出す仕組みについては共感。ジムであることに絶望せずに生きる方針もしっくりきた。
ただし、著者の価値観に「役職・年収が上がることがそのまま正」という部分を感じ、「地に足をつけてジムとしての幸せを」と説く部分と矛盾を感じてしまった。
また前半でジム型人材が置かれる環境の負の部分を提示しておきながら、帰結が「頼まれたことをやる」となっており、なんの解決になっていないのも気になった。
したくないことをしなきゃならずに失敗するのは、それ一本に頼りすぎているからでは?とも思う。
「やりたいことを見つけなきゃ」に縛られる必要がないことには同意だが、根本的に燻り続ける理不尽や不満を抑えるものは提示されておらず、対処療法的な印象。
痛みを和らげることができても、痛みが必ずあることを受け入れる前提で、本当にそれしかないのかは甚だ疑問に思った。

世の大半がジムならば、ジムがその理不尽な環境を変えようと思わない限り、ジムが蹂躙され続ける事実は変わらないのでは?とも思う。


## 実践・参考にしたい
- 自分がジムであることを自覚し、地に足がついた幸せを探す
- ジムであることを卑下しない
- 新しい働き方のブームに振り回されない
- 夢を諦める期日を設定
- 人格の好き嫌いと言動の好き嫌いを分けて考える
- 帰れるところを作る
- 等身大の人から刺激を受ける

## 残ったフレーズ
- 常に曖昧な不安を抱き続けるジム人材
- 学校は歯車工場
 - 教えられるのは「答えがありそれを覚える勉強」、その先で求められるのは「自ら問いを立て解を導き出す勉強」
 - 特別であるために上位校を目指し、自分がガンダム(特別)である幻想を抱く
- 企業の求める人物像に自分を合わせる学生たち
 - 学生に演技を強要する
 - 内定者は特別だと勘違い
 - 「カッコをつけたお見合い」
 - 就活で聞くのは「やりたいこと」だが、入ってやるのは「やらなければならないこと」
- 会社員生活によるジム化
 - 気付けば考え方が企業の基準に
- スゴイ人にならなければいけない病
- ノマドワーカーもかつてのフリーターと同じ帰結に至る可能性
- キャリアにはアップもダウンもない…全て等しい轍、結果論でしかない
- 自分探し、自分磨きの終着点はどこ?
- 自由の追求は、必ずしも幸せをもたらさない

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年6月26日
読了日 : 2021年6月26日
本棚登録日 : 2021年3月18日

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