市民のための世界史

制作 : 大阪大学歴史教育研究会  伊藤一馬  猪原達生  岡田雅志  後藤敦史  小林克則  高木純一  中村薫  中村翼  向正樹  森本慶太 
  • 大阪大学出版会 (2014年4月1日発売)
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感想 : 16

残念ながら図書館の返却期日が来たため、読むのを断念。

しかしながら、ただ返すのももったいないので、目次から「序章 なぜ世界史を学ぶのか」と「終章 どのように世界史を学ぶか」のみは目を通し、必要なメモだけ記したい。

序章(なぜ世界史を学ぶのか)から
”歴史は動かない過去の事実を暗記するだけの、「役に立たたない」科目か-歴史を学ぶ6つの意義と効用(以下要約)

①現在は過去の歴史の積み重ねの上にあるので、歴史を知らなければ、現在の日本社会が理解できないし、日本の将来も考えることができない。

②歴史は繰り返す。過去(成功や失敗)を学ぶことにより、物事を判断したり、自身の行動の選択が可能となる。

③歴史は、目先の事柄に一喜一憂するのではなく、長期的な視点で評価・判断する力が必要。政治、経済、社会、文化、自然など幅広い領域にわたる視野が身につく。

④異なる時代、異なる国・地域の歴史を学ぶことは、「異文化理解」の訓練となる。

⑤同じ出来事にも異なる解釈や説明があり、事実を突き止めたり、妥当な解釈を選択する能力は、「情報リテラシー」の一種である。

⑥事実は小説より奇なり。良質な娯楽としての効用大。

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終章(どのように世界史を学ぶか)から

◆歴史研究の仕事(2つある)
①史料批判に基づいて歴史上の事実を確定する【実証】
②多数の事実の中から、一定の理論や歴史観に基づき、特定の事実を選び、それを論理的に組み合わせ、出来事の因果関係や意味・影響、社会の構造、時代の流れを論じる【歴史叙述】

※文字資料には次のような形態あり
 ・書物(文献)
 ・公文書、契約書、手紙など個別的に作成される文書
 ・金属や石に情報を刻んだ金石文

※印刷技術普及前は写本による歴史伝達
 →誤写や故意改編がないか慎重な調査が必要

※世界や多国間の歴史研究
 →史料の言語・種類が多い
 →翻訳資料の利用や、複数の研究者による分担あり

※事実の確定とは「いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように」したかを突き止めることだが、「なぜ」は人の心情にかかわるため、客観的解明が困難。

※自分がどの史料のどの箇所を用いたか(史料的根拠)を明記するだけでなく、どういう理由や考え方によってどの事実を選びどう組み合わせたかというプロセスやロジックも他人の検証が可能なように明示しておく義務あり。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 大阪大学歴史教育研究会
感想投稿日 : 2018年6月2日
読了日 : 2018年6月2日
本棚登録日 : 2018年4月17日

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