高校で虐められている女子高生が、疎遠となっている岩手の祖父を訪ねて、一緒に住むようになる。祖父は羊毛で伝統工芸品を作っている作家で、彼や工房で働く親戚たちの手伝いをしながら、自分の行きたい道や両親との関係修復について模索していく。
いじめにあっている子供が祖父や祖母を訪ねる話はたまにあるが、これも素敵な話だった。
おじいちゃまの言葉は少ないけど、相手を思う気持ちがしっかり伝わる表現は気持ちが温かくなるし、工房で働く先生や先生の息子も、彼女の気持ちを汲みながら時に厳しく時に優しく彼女の成長の手助けをする様子は、彼女にも信頼して頼れる大人が出来たような気がして、安心する。
考えに考えて自分の道を選んだ彼女は、悩んだ末の結論に揺るぎはないだろうし、きっと苦しくても楽しみながら必死に努力すると思う。
そんな道に出会えて幸せだろうと思う。それが人と少し違う道のりであったとしても。
お母さんやおばあちゃまのズケズケと土足で入ってくるような言葉の嵐にはゲンナリしたが、彼女が自分の気持ちを伝え関係を修復出来たことは、彼女だけでなく母、祖母、父にも自分の言動を顧みるきっかけを与え、それが更にあの家族の関係を更に良くすることになったのだと思う。
家族というのは1番近い存在な分、言いたい事を言えなかったり、余計な事を言ってしまったりする事がある。
お互いの気持ちを尊重して、思いやりを大切にすることを、心に留めようと思った。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年9月6日
- 読了日 : 2023年9月5日
- 本棚登録日 : 2023年8月6日
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