作者は原題を『成熟した大人のための江戸の怪談』としたらしいのだが、これでは売れないと『江戸の怪奇譚』となったらしい。
最近は古文書が広く知られるようになって、江戸が夢のようないい時代だったという評価もよく聞くが、
現代のニュースにも出てくるような残忍な子殺し、親殺し、陰湿ないじめなど、今以上におどろおどろしい事件も多数あったことが、たくさんの文書に残されている。
怪綺談を不思議、妖と珍しがって怖いもの見たさで喜ぶ人ばかりであったわけではなく、怪綺談をたくさん集め、その背景を探り現象の真実を考察する江戸人もいたのだ。
怪奇現象を集めた『反古のうらがき』は鈴木桃野という人がいる。
現代の精神科医師のように、事件の背景を詳しく分析している。
この作家も鈴木桃野のように、八十数冊という当時の本(黄表紙も含む)から、江戸当時の人々の生き様やその苦悩を丹念に掘り下げる面白い一冊。
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- 感想投稿日 : 2018年8月30日
- 読了日 : 2018年8月30日
- 本棚登録日 : 2018年8月27日
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