お葉というモデルがいた: 夢二、晴雨、武二が描いた女

著者 :
  • 晶文社 (1996年5月1日発売)
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感想 : 6
3

この作家さんは、江戸時代の旅に関しての本を書いていたので、読んだことが。

お葉とは、竹久夢二が名付けた名前で、本当は、お兼。
出生にも秘密があり、教育も中途で家を出た女性は、自然のままに本能のままに女として生きるたくましい女性。
その性格とは裏腹に、幼く華奢で控えめな仕草、横顔も当時の他の日本女性と違って美しい曲線を持って、人の目をどこでも惹きつける魅力があった。

はじめは女工として働くが、学歴もなく方言もきつい彼女は、あっさりと美術学校のモデルとなることを承諾。
自分の体を全霊でスケッチされることに喜びを感じ、画家との勝負の様に、自分を表現しようとする彼女は引っ張りだこに。

決して賢くはなく東北のきつい方言がついに最後まで治らなかったお兼だが、男女平等の意識も知識もなかった当時の、自分本位の男性たちに比べ、たくましく雄々しい。

竹久夢二のことは、ずっと印象が悪かったが、この本でたくさんの史実や日記から紐解かれた彼の実像を見ると、ますます大嫌いに。

なんとも責任感も本当の愛もひとかけらも相手にかけることなく、自分本位で、自分中心にしか物事を捉えられない性格や考えのなさを見ると嫌になる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年4月4日
読了日 : 2020年4月6日
本棚登録日 : 2020年3月31日

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