ばかもの

著者 :
  • 新潮社 (2008年9月1日発売)
3.39
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本棚登録 : 670
感想 : 169
5

読書開始日:2022年2月19日
読書終了日:2022年2月20日
所感
大好きな作品になった。
作中のラウンドアバウトが、しっかりハマっていた。
ヒデのアル中へのきっかけのない変遷も、アル中を断つ踏ん切りがいつになってもつかないのも、気づけばどんどん堕ちていくのも、全てがリアルだった。
一度ハマったアル中から逃れられず、慎ましやかに生きることのみを目標に過ごしていたヒデは、額子と会う機会を得る。
迂回した2人は、ぎこちないながらも分かち合うものがあった。
そしてヒデが額子のいる片品に通うようになってからは、あたたかい時間が続いた。
依存症に対して、ただただ甘えさせることは正義ではない。依存症には、翔子のような優しさと、額子のような強さが両方必要だった。
個人的には、ヒデがどんどん他者に尊敬の念を寄せていくところが、アル中からの少しずつの離脱を表していてとても良かった。

ジューリンってどんな字だっけ
やんごとなき
くすくす笑いがネズミ花火のように身体中を駆け巡る
俺はクズだ。だけどそれを誰にも言ってほしくない
ネユキのメールを、差し出された一枚の清潔なハンカチのようだと思った
こんな形で「明日」がきたのだ。また濁る
切断部までしか神経はないのに、見えなくて触ることもできない、存在しない先端が痛むのだ
なんでこんな陳腐な言葉で考えてるんだ?ただ単に興味
おめー、ほんと強えな⇨甘えたい男が本当に欲しかった愛情
痛快ってこういうことなのか、とヒデは思う
片腕でなんでもこなす額子の強さが、俺の依存症を撃退する
俺は迂回するだろう、俺は君を忘れないだろう
片品に通うようになってからの怒涛
ラウンドアバウト
とてもかなわないという素直な尊敬の念が、依存症の克服を表す
因業
それだけ愛してて、尊敬してるってことだよ。尊敬できる相手と一緒にいられるのって、滅多にないよ

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感想投稿日 : 2022年2月20日
本棚登録日 : 2022年2月18日

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