アマデウス [DVD]

監督 : ミロス・フォアマン 
出演 : F・マーレイ・エイブラハム  トム・ハルス  エリザベス・ベリッジ 
  • ワーナー・ホーム・ビデオ
4.17
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感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988135805775

感想・レビュー・書評

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  • 小生の母が、若い頃に映画館で観たという作品。
    数十年の時を経て、小生も観ることができました。親子で語り継がれることとなった作品になります。

    モーツァルトといえば、アイネ・クライネ・ナハトムジークのような優雅な曲を作った人であり、幼い時から作曲を始め数百と作品を世に残した天才であります。
    バッハと並んで熱狂的なファンを持つクラシックファンなら必ず通る人です。
    しかして、サリエリの口から語られるその人となりは、決して優雅ではなく下品で荒唐無稽そのものでした。女性に平気で下ネタはくっちゃべるし、人を侮った発言はするし、おまけに人前でおならをする始末。
    病跡学という残された文献をもとに診断を試みる学問によればアスペルガーの人(プラスADHDとも)だったと言われています。
    たしかに、社会性は皆無に近い彼の姿を見るとそうかもな、とうなずいてしまう。
    しかし、その一方で天才的なセンスを彼は持っていました。宮廷に呼ばれ、皇帝陛下の前で堂々と振る舞えるのは、彼の能力が認められてこそのもの。
    あれはいい!でもこれはまったくだめだね!と言ってしまう頑固なまでのセンスは、たしかにアスペルガーっぽい。だからこそ妥協のない優れた作品が生み出されたのでしょう。
    でも、その才能をよしとしないというか、嫉む人がいます。語り部となったサリエリです。サリエリは、モーツァルトの才能を見るにつけ、ひとつのストーリーを作り出します。天才を手中に置き、手のひらの上で踊らせようという企みです。
    モーツァルトは、彼の術中にハマり、すっかり気落ちして、追い詰められていきます。そして、(悪)妻から愛想つかされ、一人残された彼が行き着くのは…。
    母が語っていた、なんとも心が詰まるラストに絶句しました。

    モーツァルトがピアノを弾くシーンがあるのですが、普通のドラマでは鍵盤を隠し弾いてるっぽい演技をするところを、今作では俳優がきちっと弾いてます。個人的見どころです。
    前面から映し出される(そしてモーツァルトが語る)そのシーンは俳優の努力あっての貴重な絵面だと思いました。

    日曜洋画劇場(時代的には午後のロードショーかもしれませんケド)で(ぜひここは亡き淀川さんの代わりに町山智浩さんの解説付きで)流しても満足の行くよい映画だと思いました!

  • 凡庸の頂点サリエリから見た、天才モーツァルト。

    精神病院でのサリエリの語りとともに、過去のモーツァルトの作品を聴けるので、見ていて飽きない。

    モーツァルト→天才の無駄遣いはもったいない(*_*)口惜しい!いいマネージャーがいれば良かったのに。お父さんから自立できていなかったことが全ての元凶のような気がした。奥さんのコンスタンツェ役の方がとっても愛らしかった!その方の笑顔が上白石萌音さんのデビューしたての時によく似ていた。

    サリエリ→ 必ずしも、才能を欲した人が才能を得られるわけではないという凡人の苦悩はよく聞くけど、その才能を誰よりも理解する力と信仰心を与えられてしまった彼は、一層つらかったと思う。神の理解がだんだんひねくれていく様はわからないこともないけど、狂ってしまって残念だ。(個人的には、凡人は「人生は総合点」と思って生きるのがいいと思っている!)サリエリが、「ぶどう園の労働者のたとえ」を読んでどう思うか聞いてみたい。

    中世ヨーロッパのセットも素敵だった。

  • 遥か昔に観たけど、久々に観たくなって図書館で借りてきた。
    モーツァルトの人生をサリエリ視点で描くというもので、この映画のおかげでサリエリの知名度はあがったけど、きっとこんな悪人ではなかっただろうからちょっと可哀想ではある。
    冒頭で、サリエリがモーツァルトと父親のレオポルトの父子関係を羨む辺りは少し意外でもあり、モーツァルト一家の英才教育の有り様を巧く表現しているなと思った。マリーアントワネットとのエピソードもさりげなく皇帝のセリフという形で登場させている。ついでにベートーヴェンとの邂逅エピソードなんかも加えて欲しかった。
    演出としては、余り時代考証にこだわらずに現代風にアレンジしているという印象。でも、あの時代も相当退廃的だったから、意外とこんなものだったのかもしれないが。
    初めてみた時はよくわからない箇所もあったけど、ある程度モーツァルトの自伝的なことも知った上で見ると、すんなりと理解できて面白い。もう少し父子関係の濃厚さとコンスタンツェの悪妻さ(なんかいい奥さん風だった)、サリエリの怨恨っぷりを強調してもよかったのかなとは思う。
    良くも悪くもモーツァルトのイメージを決定づけてしまっている映画だな。これに対するカウンター的な映画が作られると面白いのに。

  • 天性の才能を持つモーツァルトと凡庸なサリエリ。凡庸な人間のひとりとしてサリエリに共感しながら観るも、苦しくて、ながら鑑賞となる。オペラのシーンが細切れにあって、あーちゃんと劇場でオペラ観たりクラシック聴いたりしたいと強く思った。

  • 10年以上ぶりの再見。凡人である宮廷音楽家サリエリが天才モーツァルトにレクイエムを書かせ、実際に死に至らしめるというなんともわかりやすい映画。この単純な二元論が今回は不満だった。
    もう一つ気づいたのは、村上春樹の「騎士団長殺し」は本作にけっこう負っているなということ。
    もう一つは、Yohji Yamamotoの服って、あれは喪服だったんだな、という、今更ながらの気づき。

  • ディレクターズカットは小ネタ満載でいいし、モーツァルトの人となりも知れて親近感が湧くんだけど、モーツァルトが人らしく喜悲哀こもごもになっているのを見てしまうと、彼が私達と同じ人であることを意識してしまうので、通常版くらい、サクッと神の子として、(サリエリの視点と同じように)余計なものは見せずに我々を突き放してくれ……とも思ってしまうわけ なのでどっちかというと通常版のが好き なんだがこれは途中でディスクを裏向けないといけないから面倒くさい

  • 何回目かな、久々に見た。最初は劇場で見たのだから、もう30年近く前なんだけれど、今見ても、全然古い感じがしない、名作だと思う。音楽は素晴らしいし、衣装も舞台もすごいと思うが、それより何よりモーツアルトのやけに気に触る笑い声が強烈である。

  • ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。

    モーツァルトの曲は聞いたことがあっても、人となりについては思いを巡らせたことがありませんでした。

    モーツァルトに反目するサリエリの楽曲と比べると、モーツァルトの楽曲は軽やかで絢爛な印象を受けます。
    その楽曲のセンスに天才的な才能が重ねて描かれていて、モーツァルトの先進性、天才性を感じました。
    一方で、音楽的な才能を発揮しながらも、性格・生活は破天荒でわずか35歳でその生涯を閉じます。

    この映画の独白者、サリエリはモーツァルトと対照的で凡庸・硬派・安定といった趣き。
    それがゆえにモーツァルトの天才性の前に苦しみ、怒り、嫉妬する様子がとても生々しく伝わってきました。

    嫉妬し怒りに震えながらも、モーツァルトの才能を理解し認めるがゆえに、二律背反する気持ちの間で板挟みになるサリエリの苦悩が痛々しくも、そのためにモーツァルトの華麗さが引き立っていました。

  • 神と才能の話。

    凡庸な我々はそれに憧れ、それを賞賛し、それに嫉妬することしかできない。

    フィガロしかちゃんと聞いたことなかったけどモーツァルトはオペラの人だったのだな。古典オペラを観てみたくなった。

  • 1823年11月のある夜、ウィーンの街で自殺をはかった老人・アントニオ・サリエリが、精神病院に運ばれた。彼は病床で「許してくれ、モーツァルト!君を殺したのは私だ」と言い続けていた。
    後日、病状が安定したサリエリを神父フォーグラーが訪問し、話を聞こうとする。当初は神父を蔑み拒否していたサリエリだが次第に軟化する。そして、にわかには信じ難い驚愕すべき内容の告白を始める。
    サリエリは、若い頃は音楽への愛と敬虔な信仰心に生きており、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世に仕える作曲家として、人々から尊敬されていた。しかし彼の前に天才作曲家ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトが現れたことが、サリエリの人生のすべてを変えてしまう。その類い稀なる音楽の才能は大衆から称賛され、天真爛漫かつ下品で礼儀知らずな人間性は他の作曲家から軽蔑を受ける。しかしただ一人サリエリだけは、「モーツァルトの才能が神の寵愛を受ける唯一最高のものであること」を理解してしまい、自分はモーツァルトの真価が分かる才能しかない凡庸な人間だと思い知らされる。そしてモーツァルトへの激しい嫉妬に苛まされるサリエリの苦悩が、大きな悲劇を生んでいく。

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