「健康」という病 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社 (2000年6月16日発売)
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本棚登録 : 87
感想 : 15
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【概要・粗筋】
現代社会では、人々は健康でありたいという欲望を持ち追求し続けている。一方で、錯綜する医療情報に振り回されている。そこで、筆者は危険因子、ダイエット、スポーツ、人間ドック、薬、ストレスなど「健康」にまつわる身近なテーマに人々の認識が俗信・迷信であることを明らかにする。そして、新たな健康観を提示する。

【感想】
近年、社会学で現代の健康ブームに対する研究が注目されていると知って、健康ブームに対する批判的な本を読んでみたかったので、本書を購入。もっとも、著者は社会学者ではなくて現役の医者。

筆者は私たちが接し信じている医療情報には科学的検証されたものが少なく、誤謬も多いと指摘する。けれども、門外漢の私としては本書で語られている医療情報の真偽については正直わからない。けれども、完全な健康など存在せず、人間は不健康であることが当たり前であって、このことを前提に「自分の目標設定したことを苦痛なく遂行でき(P9)」れば健康であるとする主張は肯ける。いたずらに健康に対して不安にならず、自分のしたいことに支障を来す事態に陥ってから医者にかかるのでも良いと思った。

それでも、人間ドックや検診をしなかったばっかりに、がんなどの命に関わる病気を早期発見できなくなってしまうかもしれないという不安はあるだろう。しかし、本書によれば肺がんに関しては現時点では早期発見による治療法が確立されてない(P143)とのこと。さらに、子宮体がん、肺がん、乳がんは検診をしてもしなくても発見率に違いがなくらしく、早期発見が効果的なのは子宮がんや胃がんぐらいとのこと(P130)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2011年6月26日
読了日 : 2006年10月21日
本棚登録日 : 2011年6月19日

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