阿川佐和子氏訳の『プーさん』との比較、そしてメイさんのレビューを拝読して読みたくなった。
(その節は有難うございました^ ^) 石井桃子氏は日本で初めて『プーさん』を翻訳されたことで知られている。
改めて構成を振り返ると、原作者のミルン氏がご子息のクリストファー・ロビン君のために「くまのプーさん」のお話を創作する流れになる。
プーさん、敬語だったりして何だか紳士的!『くまのパディントン』も紳士的だけど、プーさんは間の抜けたおとぼけ紳士って感じ?マーマレードやハチミツと、甘いものには目がないところは共通しているか笑
阿川氏版と比べて語りかけも優しい!というかテンポが良い!読んでいる最中ちょうど子供たちの歓声が外から聞こえたので、勝手に読み聞かせをしている気分になった笑
「プー、きみ、朝起きたときにね、まず第一に、どんなこと、かんがえる?」
「けさのごはんはなににしよ? ってことだな」[中略]
「ぼくはね、きょうはどんなすばらしいことがあるかな、ってことだよ」
プーはかんがえぶかげにうなずきました。
「つまり、おんなじことだね」と、プーはいいました。
「語り手」が優れているのは、動物たちだけでなくクリストファー君本人も話に登場、彼らと交流させているところだと思う。大好きな親の語る物語で、自分が思わぬ活躍をしていると子供なら誰だって嬉しいはず。「自分はこんなことも出来たんだ!」と自身を誇りに思うことだってできる。
阿川氏版にも書いたけど、「人間界では非力とされる子供がプーや仲間たちの間では頼りになる存在」という設定は、クリストファー君や世界中の子供たちを大いに元気づけたに違いない。
阿川氏がえらいゴリ押しされていた石井氏の翻訳スキルも気になっていた。
あとがきでは翻訳秘話をもっと伺いたかったのだが、それは別途他の解説本で探索してみようかしらん。
- 感想投稿日 : 2023年3月10日
- 読了日 : 2023年3月10日
- 本棚登録日 : 2023年3月10日
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