新・日本の階級社会 (講談社現代新書)

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  • 講談社 (2018年1月18日発売)
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階級ごとの説明が詳しくて、わかりやすい。
自分はここの階級だろうかと想像して読み進めたが、異なる階級の人とは普段暮らしていて接点がないものだと改めて自覚できた。
階級ごとの性別役割・軍備・中国韓国・外国人などへの考え方の違いも、こんなに大きいのかと驚いた。自民党のコア支持層のある種の安定感は、驚くものがある。

以外、備忘録的にまとめ。具体的でわかりやすい指摘ばかりだった。

・かつての仮説ともいえた、「労働者階級は格差是正を求め、平和を愛し、軍備を否定し、海外侵略の責任を認め、かつての侵略先の人々と友好的な関係を築いていく」という説は、いまは現実から離れている。

・労働者階級は、新中間階級、正規労働者、アンダークラスに分裂している。

・これらの層は格差を認識しているが、自己責任論を認めており、新中間階級と正規労働者は所得再分配政策を支持せず、アンダークラスに対して敵対的になっている。

・アンダークラスは、古典的な労働者階級と異なり、格差への不満と格差縮小の要求を持っているものの、平和への要求ではなく排外主義と結びつきやすくなっており、「誤爆」状態である。

★★アンダークラス、パート主婦、専業主婦、旧中間階級、そして新中間階級と正規労働者のなかのリベラル派を、格差社会の克服という一点で結集する政治勢力が求められている。

・自民党の支持は強いが、排外主義と軍備重視に凝り固まった人に偏っているという弱点はある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年3月23日
読了日 : 2022年3月23日
本棚登録日 : 2022年3月12日

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