バガージマヌパナス わが島のはなし (文春文庫 い 39-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (1998年12月8日発売)
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感想 : 56
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色鮮やかな物語だった。沖縄の太陽とオージャーガンマーのもとでは、綾乃のフユクサラー(怠け者)もフラー(ばか)も不自然に感じない。眩しいくらいに自由だ。ろくに学校も行かないのに成績は優秀で、しかも黒髪の美少女だ。無敵だ!強気な性格もオイラ好み、相手にはしてもらえないんだろうけど。いちばんの友だちがオージャーガンマーというギャップもいい。17歳と86歳の友情というか、愛だよね。きっと綾乃はカニメガとも手加減なしのいい関係になると思う。仲のいい友達とはずっと一緒に遊んでいられると疑わないのはオイラもだ。贅沢なんかしなくても、約束もしていないのにガジュマルの樹の下に行けば友だちに会えるなんてこんな素敵なことはない。いつもの店でいつもの顔ぶれで酒を煽っているのとは違うものな。話すことだって会社や家庭の愚痴じゃない。綾乃とオージャーガンマーのユンタクは噛み合ってるかどうかなんてお構いなしだけど、聞いているだけで笑顔になる。幸せって何かわかっていて全力で楽しむ二人だからできる。大好きな友だちとはそんな会話をずっとしたいな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年10月10日
読了日 : 2018年10月10日
本棚登録日 : 2018年10月4日

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