著者は中国で製薬会社を経営し、中国人、韓国人にも慕われていた日本人社長の娘。巻頭、浴衣のようなかわいいもんぺを着た写真、文章も戦時中の満州の日本人の生活がよくわかる。そこから敗戦、解放区への逃亡、チャーズ、天津、帰国と著者の
記憶もショックでところどころ飛んでいる壮絶な体験。飼い犬が人間の赤ん坊を食い、餓死者を見た日に露天があり食べ物が売られている景色を見る秩序ない町の状態、兄と弟の死。チャーズでの一斉に新参者流民を強奪する流民、自分はあそこまでされなくて良かったとおびえるそばから「自分たちがそのうち奪う側になるんだよ」と言われる恐怖。「日本人は戦争に負けたことがないんだろ?中国では大昔からいろいろな国が土地を奪い合って人民は次はどっちにつくか負けたときのことをいつも考えてる。この国では負け方を知らない人間は死ぬんだよ!」チャーズを出るときは自らの人脈を利用しすべての人を助けることは叶わないまま脱出。でもそうしなければ生きていたかわからない。著者い命を救うため父は一生かけて借金を返すつもりで月賦でストレマを購入。そのおかげで著者は生きている。子供の命の大切さ。あのとき借金をためらっていたら。。。その後の著者の中国の学校での苦労、特に日米安保の進捗、警察予備隊の発足時の心中はいたたまれない。最後は世話をした日本人からの批判、つるし上げで中国に見切りをつけて帰国する。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2016
- 感想投稿日 : 2016年5月22日
- 読了日 : 2016年5月22日
- 本棚登録日 : 2016年5月22日
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