リチャード三世 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1974年1月30日発売)
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感想 : 45
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悪に染まる宣言から始まる冒頭の掴みが秀逸!
最初に独白する劣等な境遇に共感する読者は意外に多いような気もします。悪党を志す邪なキャラクターを主人公に据えた物語は史上初だったのでは?と関心する構成。
王族に生まれながら、悪行に身をおかねばならなかった悲劇の物語とも読み取れます。王族のランカスター家、ヨーク家も元を辿れば一人の王に行き着きます。短い期間で両家から幾人もの国王が生まれ敗れていく。(薔薇戦争)
その最終走者がリチャード三世。王族をとりまく諍いの火種をひとつひとつ消していく悪行は権力の行き所をシンプルさせていきます。
この冒頭の独白は国王を目指す覚悟の宣言であり、その後の諸行は国王になるためのプロセスだと捉えると更に面白く感じられると思います。
この戯曲のテーマはテューダー朝が起こる英雄譚の裏にあるBサイド(Badサイド?、Blackサイド?)を描く!にあったと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年2月14日
読了日 : 2024年2月14日
本棚登録日 : 2024年2月14日

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