結婚しても一人 (光文社新書 1271)

著者 :
  • 光文社 (2023年8月18日発売)
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感想 : 10
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上野千鶴子さんの「女ぎらい」を読んで、関連本として読みました。こんな本を携えていたら夫が気を悪くするかな、とか思ったけど(笑)。
女である前に一人の人間であること、「娘」「妻」「母」と言った役割を生きるのではなく、「個人」として生きることを選んだ著者。本書を読んで、「個人を尊重する」ということが本当によく理解できました。日本は個人より集団・家族・組織・国家を大事にし、個人をないがしろにしがち。個人の尊重とか個性重視というと、秩序が乱れるとか集団・家族のまとまりがなくなるなどと言う人もいる。しかし個人を尊重することこそが、よりよい社会を築くことになるのだということが腑に落ちる内容でした。
私自身は、「私とは何か」などと考えることもせず、社会の圧力に屈して?20代後半で「やばい、結婚しなきゃ」と焦って結婚し、女として、妻として、母として生きてきた(←大げさ)。しかし、団塊世代の母から、「一人でも生きていけるようになりなさい」と小さい頃から言われ続けていたので、結婚した後も仕事だけは手放すまいと思っていた。夫とは対等な個人同士であり、母となっても私は「私」である。「妻であること・母であること」と「私という一人の人間であること」は両立できると思う。「母にとってよき娘であること」も、手放したくない。私は下重暁子さんよりももっと欲張りなのかもしれないと思った。
すべてを手に入れることは本当に難しい。でも、どれか一つを選ぶとしたら、やはり私は「母であること」を選ぶと思う。
しかし下重暁子さん、80を過ぎても文筆活動を続け、自分を見失わず、凛として生きる、人として本当に尊敬できると思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2023年12月17日
読了日 : 2023年12月13日
本棚登録日 : 2023年12月13日

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