プライベートバンカー 驚異の資産運用砲 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2018年3月15日発売)
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感想 : 28

以前読んだ、『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』(清武英利著)という本のモデルになった方がこの本の著者、杉山智一さんのようだ。実在モデル版ということになる。世の中には、いわゆるメガバンクや大手証券会社ではない、富裕層のみを相手にするプライベートバンクなるものがあるという。最低でも1億円の資産がなければ相手にしてくれない。もちろん自分にも資格がないのだが、世の中の仕組みの一端を知ることができる意味で勉強になる。プライベートバンクにもいろいろと種類があるようで、杉山さんはファミリーオフィスという形態で、富裕層一族が所有する事業や資産を管理・保全・運用し、一族の未来の世代に継承するビジネスだ。個人ではなく、一族の資産を管理して未来につなげるという視点は、やはり欧州の歴史的知恵なんだろう。

ただ、ボクにとってこの本に興味を示した部分は、営業としてどうやってお客さんとの関係を保つのか? という点だった。お客さんと飲むときは、お金になるかならないか、などという打算があっては懐には入れない。だからと言って、営業は前のめりすぎてはいけない。義理と人情、共感をベースにした付き合いは、日本人過ぎて海外では通じないように感じるが、実はグローバルで見て意外なほど重宝されるし、できる人の絶対人数も少ない、などなど。

それにしても、一般向けにする必要のないプライベートバンカーである杉山さんがなぜ、こんな本を書く必要があったのか? 杉山さんが本書を書いた理由は2つある。

 1.日本とは全く異なるプライベートバンクでの資産運用法を、
   一部の富裕層だけでなく、より多くの人に知ってほしかったこと。
 2.前述の『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』に取り上げられた
   反響が非常に大きかったこと。

杉山さんは十分な実績を上げてきた人だと思う。ただ、基本的にはこの人は上へ上へと昇ることを目指す人なのだろう。足元で十分な実績を示した杉山さんが、日本という自分の母国をベースにして、さらに上ることが出来るだろうかと考えたのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2018年6月17日
読了日 : 2018年6月17日
本棚登録日 : 2018年5月5日

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