さよなら、田中さん

著者 :
  • 小学館 (2017年10月16日発売)
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本棚登録 : 1718
感想 : 274
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主人公は小学6年の女の子、田中花実。
働き者のお母さんと二人暮らし。
貧乏で壮絶な節約っぷりは、普通に考えると切ない程だが、この母は底抜けに明るい。

この母の名言(?)が色々あって面白いので、ちょっと紹介を。
“人からもらった食べ物はすぐ食え。後で返せとわ言われないうちに”
“死にたいくらい悲しい事があったら、とりあえずメシを食え。そして一食食ったら、その一食分だけ生きてみろ。それでまた腹が減ったら、一食食べて、その一食分生きるんだ。そうやって命を繋いでいくんだよ。”
食べることに執着している母の名言は、食にまつわるものばかり。
面白おかしく話しているが、深いのです…

毎日大笑いし、大食らいし、生きていることに感謝している母を、娘の視点から尊敬と愛を込めて描いている。
貧乏であっても心は豊かで、余裕があるように感じる。
素敵です。

そしてこの作品を読んだ自分は改めて、当たり前に毎日ご飯を食べられること、生きていることに気付かされ、ハッとする。

この作品は5編からなる連作。
私は「花も実もある」と表題作の「さよなら、田中さん」が好き。

この本、さてさてさんのレビューで知りました。
そしてこの本が出版されたとき、著者は中学生というから驚き!
読み始めは“中学生”と言うことが頭にあったけど、すぐにそんな事は忘れる程、面白かった。
他にも作品があるようなので、是非読んでみたいと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2022
感想投稿日 : 2022年7月6日
読了日 : 2022年7月6日
本棚登録日 : 2022年6月12日

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コメント 3件

さてさてさんのコメント
2022/07/06

aoi-soraさん、こんにちは!
鈴木るりかさんのこの作品とても良いですよね。元々は九歳の時に執筆された作品もあるということで、そういった点を最初意識したのですが、読み始めて、内容自体の面白さ、巧みさに圧倒されました。新鮮な驚きを与えてくれる作品だとも思いますし、出会えて良かった作品、出会えて良かった作家さんだと思いました。
続編も良いですし、「14歳、明日の時間割」もとても良いと思います!

aoi-soraさんのコメント
2022/07/06

さてさてさん、こんにちは!
9歳で執筆って!本当にスゴイですね。
子供が書いた作品という、興味本位で読み始めたとしても、そんな事すぐに関係なくなりますよね。
登場人物達の心の内面を細やかに描いていて、読者に余韻を残すというか…

続編もあるんですね!
探してみます(≧▽≦)

しのちゃんさんのコメント
2022/07/17

鈴木るりさんの本は、とてもいいですね!

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