みどりのしっぽのねずみ―かめんにとりつかれたねずみのはなし

  • 好学社 (1979年4月1日発売)
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本棚登録 : 412
感想 : 30

図書館で「スイミー」と並んでいたこの本
スイミーの淡い色彩とは対照的で、どこかエキゾチックでダーク
そして不穏な空気を感じる


平和で穏やかに暮らしていた、森の野ねずみたち。
ある日まちねずみから「マルディ・グラ」の話を聞く。
(マルディ・グラとは仮面舞踏会やパレード等が行われる盛大なカーニバル)
すっかり話に夢中になった野ねずみたちは、
「ぼくらも、マルディ・グラを やろう!」
と、飾りつけや仮面をつくって準備する。
その仮面は、猛々しく恐ろしい獣の仮面だった…

さぁ、いよいよマルディ・グラだ!

ところが仮面をつけた彼らは、次第に自分たちがねずみであることを忘れ、歌も踊りも忘れ、本当に恐ろしい獣だと思い込んでいく。
それからは、憎しみと疑いの渦巻く毎日となってしまう…

そう、この本の副題は、
「かめんに とりつかれた ねずみの はなし」
うわぁ~、コワイ!

これは我々人間の醜い一面を指しているのではないか?
武装すれば争える。
顔出ししなければ相手を傷付ける言葉を吐ける。


そして題名「みどりの しっぽの ねずみ」って何?
マルディ・グラでしっぽを塗ったねずみがいるのだが、その後どうしても色が落ちない。
これは、起きてしまった事実は決して消えない。
愚かな出来事を忘れるな。
ということでしょうか?


ちなみにこの本の絵は、油彩だそう。
作品全体に漂う不穏な空気を、より重たく感じる気がする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2024年2月4日
読了日 : 2024年2月4日
本棚登録日 : 2024年2月4日

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コメント 2件

たださんのコメント
2024/02/04

aoi-soraさん、こんにちは(^^)

コメントで書かれていた、もう一冊借りた、レオニのちょっと怖いおはなしというのは、これだったのですね。

レオニの絵本は、結構、ねずみの登場するおはなしが多い印象を持っていますが、こうした表現法もメッセージも全く異なる点に、レオニの奥深さが垣間見えそうですし、人間の闇の部分を鋭く突いた物語に、思わずハッとさせられるものがありました。
また、谷川俊太郎さんが、どのように訳されているのかにも興味があるので、市の図書館にあれば、是非読んでみたいと思います。

思わず入り込んでしまうような、惹き付けられるレビューを、ありがとうございます(^-^)

aoi-soraさんのコメント
2024/02/04

たださん、こんにちは♪
この作品は知らなかったんですが、なかなかな怖さでした。
でも子どもたちなら、どんな受けとめ方をするのかな?
興味あります。

ホントだ!ねずみさんの本が多いですね。
次はフレデリックが借りられるといいなと思ってます^⁠_⁠^

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