長いこと放置していた少し前のビッグ・イシューで紹介されていた。なぜかすごく気になって、読んでみた。
「注文をまちがえる料理店」とは、「認知症の方がホールスタッフをするレストラン」。
間違えちゃうかもしれない、でも同じ人間同士、その人らしい姿で、社会の一員として、役割を果たし合いながら共にある感じ。そんな場として「注文をまちがえる料理店」を作るという企画の全貌をまとめた本。それを発想するまでの経緯や、プロジェクトで大事にしたこと、準備中のあれやこれや、開催中に実際にあったじーんとくるエピソード、今後の展望、等。
ちなみにそのレストランは2017年ごろにイベント形式で複数回営業を行ったもので、常設店がどこかにあるわけではないようだ。
こういうことは、偽善だとか不謹慎だとか、批判しようと思えばいくらでも突っ込みどころは挙げられる。けど、やっぱりそれよりこの素敵な(ネーミングが特に秀逸)思いつきを、なんやかんやありつつも実現したことに対する敬意を表したい。発起人自身、「これこそ正義だ!」と信じて疑わずに猛進したというよりは、いろいろ葛藤しながら、多くの立場の人と議論を重ねて進めていったそうだ。その過程は、実践した人にしか語れないことだ。
道義的にこの企画の是非をあれこれ言う前に、まずはこの人たちのおかげでこの世界は「これをやったことのある世界」なんだ、ということを噛み締めたい、そんな気持ちになった。
自分用にしかならないが、心に残ったキーワードメモ。
・COOL JAPANより、WARM JAPAN。
・寛容な気分にさせる仕掛け。
・レストランのプロと介護のプロのせめぎあい。
・認知症の○○さんではなく、○○さんが認知症。
・当事者の姿が、世の中を変えていく。
- 感想投稿日 : 2021年5月8日
- 読了日 : 2021年5月8日
- 本棚登録日 : 2021年5月7日
みんなの感想をみる