護られなかった者たちへ (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社 (2021年7月21日発売)
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感想 : 824
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久しぶりの中山さん!
里帰りしたような気分ですが、うー、なかなか重かった、切なかった

生活保護制度の様々な問題が取り沙汰される
前半話が平行状態となり、なかなか発展しないので少々だらけ気味となる
しかし、利根とけいとカンちゃんの話に入った途端、読む手が止まらなくなる
温かい三人の仲睦まじいやり取り
そして、けいの飢えの極限状態の描写は、なかなかキツイものがあった
飢えを凌ぐ為にティッシュを食べる!
ガスも電気もとめられ、水も出ない
世の中には、こうして飢え凌んだ末、飢餓状態で死んでいく人がいるんだと思うと本当につらい

話はフィクションだからなのか、どうも生活保護受給の実態とは少し違う所があるようだ
生活保護の問題点は沢山あるようだが、私が一番気になるのは、生活が苦しいのに保護を受けていない人がいるということ
しかもその理由が生活保護という制度を知らないという事
生活保護は申請主義のため、申請がなければ福祉事務所はどうする事も出来ない 
国は税金は容赦なく徴収するのに、支給する方は申請しないと出さない
だから誰かが手を差し伸べてあげなければ、死活問題に発展する
生活保護が本当に必要な人に支援が行き届かないというのは、命に関わる大きな問題である

「生きているだけでお金がかかる」
「お金って本当に大事」
「働けるうちに働こう」
「困らない様に勉強しておこう」
これは日頃の私の心の声である

ラストは中山さんらしい展開
どんでん返しとまでは言わないが、明かされる真相に納得=(^.^)=
そこから持って来たかあ!?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年9月6日
読了日 : 2023年9月6日
本棚登録日 : 2023年7月9日

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