「怒りは困ってしまった自分の心の悲鳴」
「怒りで損なわれるのは相手の人生ではなく、自分の人生であって、相手の対処を待つというというのは相手に主導権を委ねてしまっていること」
「自分がとっさの怒りに囚われたときには、「単に自分の予定が狂ったから困ってるのだ」と考える」
「人の言いがかりは、相手の心の悲鳴」
などなど、短いながらも含蓄のある言葉が散りばめられている。
著者は対人関係療法の専門家でもあり、その考え方をベースにしている。近年ではアンガーマネジメントのセミナーも増えているが、アンガーマネジメントがあくまでも「スキル」に特化しているのに対し、この本は、「怒りが生じた対人関係の現場において、それぞれの心に何が起きているか」に着目し、根底から怒りの意味付けを解体することを目的としている。
語り口は柔らかで、卑近な例(夫が家事をしてくれなくてイラつく、自分のことを決めつけられてムカッとする)を用いている。可愛らしいイラストも添えて非常に読みやすいのだが、その実かなり高度なところまで踏み込んでいる。
すべてを実践できないとしても、
「相手を変えようとしない」
「あなたを主語にするのでなく、あなたの行動で、私がこのように困っているというように伝える」
「自分は状況をコントロールできる、という感覚を取り戻すと、被害者から脱して怒りを手放すことができる」
といった実践的なアドバイスも多い
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- 感想投稿日 : 2019年8月31日
- 本棚登録日 : 2019年8月31日
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