女のからだ――フェミニズム以後 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2014年3月21日発売)
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感想 : 21
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歴史を知ることは重要だと思う。目の前の問題は昨日今日に原因があるわけではない。特に女性の立場、意見、思想、自己決定権はまだまだねじ伏せられる傾向は強い。
でも、ねじ伏せられていると気づくことや、それが「自分の能力が低いせい」「自分の容姿が悪いせい」etc.と自分を責める必要がないかもしれないことに気づくことは、最初からできるとは限らない。
長く長く世界中で続いてきた男性による社会、歴史のどこに女性がいたのかを知ることは今の自分の立場を見直すことにもなると思う。
人間はhuman”、歴史はhistory、でも女性が存在しなかった時代なんてない。女性たちが集まり、共有し、紡いできた積み重ねに触れて泣きそうになる。

個人的には妊娠と出産が女性身体でしかできない以上、女性自身による自己決定がなにより優先されるべきだと思う。
倫理とか人口とか持ち出しても男性身体は代わりに産んだり中絶したりキャリアを断念するリスクを引き受けてはくれない。
そしてあらためて、母性神話を否定できない男性社会のことも考えてしまう。あなたの存在を否定しているのではなく、女性も一人一人個の人間であるだけだと思うのだけれど。
フェミニズムを攻撃するよりホモソーシャルを解体したほうが楽になるだろうにとも思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: フェミニズム
感想投稿日 : 2020年10月19日
読了日 : 2020年11月30日
本棚登録日 : 2020年8月8日

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