ホテルジューシー

著者 :
  • 角川書店 (2007年9月1日発売)
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本棚登録 : 1505
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長女でしっかり者。
一人で自由な時間を使うのが苦手の主人公柿生浩美は、
大学の夏休み中に、
沖縄のホテルジューシーで住み込みのアルバイトをすることとなった。

見ず知らずの土地で、訪れる観光客の接待をするホテル業。
ホテルでのアルバイト中、さまざまなお客がいた。

幼いころ震災を体験し、心に傷をもつギャル。
表向きは骨董品や、実は詐欺師。
旅ブログを書くために見栄をはった一人旅をする若者。
沖縄にあこがれだけで来る本土からのにわか滞在者。

ホテルの宿泊客は、それぞれに過去と人生を背負っていて、
ホテルジューシーはいつも小さな事件に見舞われる。
それはすべて宿泊たちに関することだった。
彼らはパッとみただけでは、本当の姿が見えてこない。
真相を知りたくて、持ち前の正義感から突っ走る浩美に、
「昼あんどん」のオーナー代理は、
夜になると冴えた頭で的確なアドバイスを与える。

浩美は知らず知らずのうちに
持ち前の頼りがいのあるたくましさが倍増し、
ホテルジューシーのアルバイト生活が大好きになっていった。

ホテルの名前の「ジューシー」は沖縄料理のことだった。
この作品では各章ごとに、沖縄の郷土料理や食べ物が出てくる。
「ちんぴん」「ポーク玉子」
「おにポー」「チャンプルー」「チャンポン」 etc
想像するだけで美味しそう。
これらの食べ物が、「何かがおこりそう」なホテルの日常に
いい意味でのアクセントをつけ、
沖縄へ興味津津となる手伝いをしているようだ。

夏休みが終わりアルバイトを終えて、日常生活にもどった浩美だが、
そのうちに、ホテルジューシーにもどってくるだろう。
まだまだホテルジューシーのエピソードを知りたいし、
オーナー代理についても謎の人物のままだから、
きっとまた続編もあるだろうと、期待をしている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年6月29日
読了日 : 2013年6月29日
本棚登録日 : 2013年6月29日

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