寂しさに 付け込もうとする人間と寂しさに打ち勝たなければならない少女のお話。
Neon Genesis EVANGELIONで加持さんがシンジ君へ溢した台詞が思い起こされた。
「大人はさ、ずるいくらいが丁度いいんだ」
本当にそうだと言わんばかりの人物達。無性に苛立ちを感じさせながらも、然し内側に秘める謎の熱と欲深さで他人を魅了してしまう人間。危うい筈なのに、つい背中を追ってしまいそうになる人間を島本氏は上手く表現してくれたなと思う。
危うい橋を渡り切ってしまえば、その危うささえ唯の日常と化してしまう事実と、言葉を声に出してしまう事に恐れを抱いた瞬間と。涙が乾くまでの時間を何れ程待てばいいのか、空虚を唯々見詰めるしか術のない自分と。必死にもがく中、心の何処かで変に冷静な自分が居る事に気付いてしまう哀れさ。あなたの呼吸が止まるまで、きっと此の矛盾は溶けない儘「底」「其処」に在り続ける。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
邦書
- 感想投稿日 : 2017年3月2日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2017年2月26日
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