生きかた上手

著者 :
  • ユーリーグ (2001年12月1日発売)
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小さな円を描いて満足するより、大きな円の、その一部である弧になれ(ブラウニング)編集する 2010年11月28日00:48

この本には、氏の人生に影響を与えた名言もちりばめられている。

日野原重明「生きかた上手」

先日、「日野原先生がオリーブオイルを毎日飲んでいるっていうのを

聞いたんだけど」と、本を探しにきたお客さんがいた。「日野原人気は

健在だ」ということで…今度、医療をテーマに人気の本や小説を特集

するつもり。

中高年に人気で問い合わせもある、日野原氏のベストセラーを読んで

みた。いまさらです(^_^;)2001年出版。氏が90歳の時。

もう出版から10年がたったんだ。現在も御存命。すごい!

ヒットしているときから「これは中高年以降の人に興味のある、健康や

病気について書かれた本で、まだ20代の私には実感できることは少

ないだろうな」と思っていた。

ほかの著作には自身の健康法が主のものもあるようだけど、本書は「

人間の欲」「医療と人間」「生と死、子供への伝え方」など、むしろ若い

ころに読んだほうがいいトピックもあった。文章もわかりやすく、言いよ

どみがなく、時に厳しい。長く生きているというだけでなく、経験や頭の

よさなんだろうな。

何点か、心に残った点を書き留めておく。

★現代医療の限界を「謙虚」に受け止め、また患者である私たちにも

学習する必要を訴える。


「医師に診てもらえば病気は治る、と思うのは、医療への信頼というよ

り、むしろ過度の期待です」

確かに!現在では、患者が積極的に医療に関心をもつことも多いと

思うが、氏はずいぶん以前からこのことを提唱してきた。



★医者にかかった「その後」を伝える、配慮

医者にかかって、その後の病状(治ったとか)を伝えたことはなかった。

治っても、長引いても、そのまま。次に会うときは、また悪くなったとき。

医師と患者である前に、人間同士であること、そして、医療の場だけ

でなく、その心遣いは社会人として学ぶべき点。「診てもらったその後

」は…正直盲点だった。アレルギー持ちの私のかかりつけ医とは、か

なりドライな関係。こんなことしたら、「どうしたの?!悪い病気か?」っ

て笑われそう。

★検査や数値ばかりを重視する医療に警鐘


医者は、病む「臓器」ではなく、病んでいる「人」を診る

氏は尊敬するウィリアム・オスラー氏の言葉をモットーにし、後進にも

伝えている。

★「プロ」精神を持つボランティアの育成

「ボランティアは提供する技術においてプロでなければならない」

聖路加国際病院では300人以上のボランティアがいる。不慣れ院内

をガイドするボランティア、血圧測定ボランティアがいる。

ボランティアを一時しのぎの労働力としてみなすのではなく、研修など

のバックアップをし、また技術に関しては厳しく見るという。血圧測定ボ

ランティアの技術は、医学生の講義もできるほどだという。

技術もあり、それに伴う責任も自覚し、プライドを持っているんだろうな

、と感じた。

「熱い思いやほのぼのとした善意だけでは、残念ながらボランティア

はつとまりません」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2010年11月28日
読了日 : 2010年11月28日
本棚登録日 : 2010年11月28日

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