出口のない海 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2006年7月12日発売)
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本棚登録 : 3950
感想 : 479
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戦争のお話。
特攻隊と聞くと飛行機の方を思い浮かべる方が多いと思いますが、どちらかと言うと海に潜り特攻を仕掛ける人間魚雷のお話です。

人間魚雷「回天」は、すなわち人が魚雷の中に乗り込み捨て身で敵の輸送船や戦艦に体当たりするという本当にあった戦時中日本の作戦です。
戦争を体験したことない私ですら読んでいて恐ろしさがよく染み渡りました。
特に回天隊の人たちは「早くお国の為に死にたい(敵の機体に当てて見事に戦果を上げたい)。」と口々に言っていますが、もうここまで来ると人間じゃないような気がして…もう相当当時の人たちは頭がある意味洗脳されていたのだなと思います。
それと同時に、上官から「回天」に乗り込めと命令が下ったのならそれは自ら死にに行くことが決定したようなもので…なので、こうでも思わないと自分の身も精神もなにもかも持たない状態だと思いました。

主人公の並木は最後まで人間らしさが残っていました。
行方不明となった時はまだどこかで生き残ってるのではないかと私自身希望を持っていましたが、現実はそう甘くなく泣きました。

今後もこの物語が後世に残りますように…

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年5月14日
読了日 : 2023年5月13日
本棚登録日 : 2023年5月13日

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