船と縁の無い著者の無謀な体当たり取材。 捕鯨に賛成なのか反対なのか白黒付けろと言われて取材者としての立場として悩み、船の上で村八分になることを覚悟して挑む姿が、なんとも哀れなのだが、そんなへっぽこなザマをさらけ出しながらもここまで書いたことに驚きを隠せない。第三者だからこそ書けたノンフィクションなのだろう。太地、鯨取り、現代の海の仕事師たちの姿を伝える一冊。確かに捕鯨は、農業や他の漁業と一線を画して特殊な仕事と思えるが、代々それに従事してきた人々の姿を知る機会が少ないことも、捕鯨について無知な人々を生み出しているともいえる。
異文化の隣人を知ることは、そこに住む人には簡単なようで難しいこともある。よそ者だからこそ、見られる視点、放言できるということもあるのだ。
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- 感想投稿日 : 2011年3月4日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年3月4日
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