紫電改の六機 新装版: 若き撃墜王と列機の生涯 (光人社ノンフィクション文庫 283)

著者 :
  • 潮書房光人新社 (2004年9月1日発売)
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感想 : 9
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昭和20年7月24日、豊後水道上空での激戦の末に未帰還となった第三四三海軍航空隊の6機の紫電改のうち1機が昭和52年に海中で発見され、54年に引き揚げられたことから本は始まり、未帰還者6人の生い立ちや入隊後の軌跡が最期の日に向かうように書かれている。
『剣部隊』と呼ばれた精鋭たちの地上でのごく普通の青年としての姿がその壮絶な最期とあまりにもかけ離れていて読んでいて胸が詰まる思いだった。
唯一の妻帯者であった武藤金義少尉が妻へ宛てた愛情のこもった手紙の数々は美しくて、結末を知っているだけに本当に悲しい思いで読んだ。

笑って談論をして飲んで恋をして…青年時代に当たり前にする様々な事を戦争と言う理不尽な事態に巻き込まれて中断せざるを得なかった当時の彼らの生き様を思うと涙が出る。

海に眠る彼らの上に平穏あれ、と祈ります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年1月11日
読了日 : 2012年1月11日
本棚登録日 : 2012年1月11日

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