映画を見てから小説を読みました。
大黒屋光太夫が凄いのは、いつか日本に帰れることを信じて、その時に役立つと思い、ロシアの詳細なメモを取り続けていたところ。そのメモと光太夫への聞き取りを元に江戸時代に数冊の本が書かれ、そういった本を元にこの小説が書かれているので話に説得力があります。
映画と小説の違いを一番感じたのは、映画では西田敏行が演じた庄蔵が凍傷した足を切断する時に大声で叫ぶところが漂流の大変さを象徴するシーンになっているが、小説では庄蔵は我慢強い男で足を切断するときにも全く声を上げなかったり、映画では光太夫が女帝エカチェリーナ2世に会いその場ですぐに帰国の許可を得るが小説では面会後かなり経ってから許可が出ていたり。
根室まで帰ってきて壊血病で死んでしまった小市は可哀想ですね。今なら壊血病の原因はビタミンC不足と分かっているのでそう簡単に亡くなることはないのに。
この小説が書かれた当時は資料が足りなくて分かっていなかったが実際は帰国後、半幽閉といいながら故郷の伊勢にも許可が下りて一度帰っているので、小説の最後から想像する悲観して人生を終えたという感じとは違うようなので良かったです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年4月14日
- 読了日 : 2012年4月7日
- 本棚登録日 : 2012年3月25日
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